「で、なぜワシがお主を手伝わねばならん?」
「だから、さっきから言ってます。怨霊を鎮めるために僧であるあなたの力が必要なのです」
「だからなぜ、ワシなのだ?」
「あなた僧でしょう!?つべこべ言わずさっさと来てください!」
夜明け早々から大きな声で話す二人の男
怒っているのは城戸であった。さっきから説明しているのに、面倒くさいと言わんばかりの態度を示し、話題を変えたりしてるからだ
この男、宗栄という。もとは信濃の寺の住職の助けにより信濃に住んでいたが、人の集まる美濃に興味を示し美濃へ移り住んできた
信濃の住職から僧という職の事を学んできたが、どうにも粗雑な言葉・態度がぬけない
今は稲葉山城城下町の寺にすんでいる
「しかしなぁ・・・ワシは明日行かねばならぬことがあってなぁ・・・」
「どうせ行かないのでしょう?なら来てください!」
頭をポリポリと手で書く宗栄、僧なので髪の毛がないのは言うまでもないが。
「城戸、別の僧を誘ったほうがいいんじゃないのか?」
薬師の大平三太郎(といってもこれは自称で、本名は不明)はいった
「それもそうなんですが・・・この面倒事は知らない人に頼めることではありません」
「ん〜・・・じゃあ簡単に手をつける方法があるが・・・」
「?なんです?」
「それは・・・」
宗栄には聞こえないように小さな声でいう・・・
それを聞いた城戸は多少驚いた
「三太郎さん・・・本気ですか・・・?」
「だってこうでもしないとこないだろう?こいつは」
「何話してたんだ?」
宗栄は城戸の驚きぶりを見て、警戒しはじめた
「いやなに、商売ごとでね」
「本当か?」
―流石もと盗賊、勘がするどい・・・
内心ばれたらやばいだろうなと思いつつ、三太郎はとりあえず作り話をいった
しかし、それがばれたみたいだ
「何か強制的にワシを連れて行く方法はないだろうかと考えていたんじゃないだろうな?」
「ん〜・・・聞きたいですか?」
にっこりと笑う三太郎、ただ見れば人のよさそうな笑顔だが・・・・
「聞かせろ」
「じゃあ他の方には聞かれたくないので・・・こちらへ」
三太郎は手招きをした
それを訝しがりながらも宗栄は歩み寄った
「実は・・・」
と話しかけた途端、
ゴッ!!!
っと鈍い音がした
そして、三太郎の目の前で宗栄は倒れた
「どうだい?」
笑う三太郎、城戸は苦笑いだった
三太郎は自分が持っていた錫杖で宗栄の頭を力の限りぶったたいたのだった
―怒ると怖いな・・・と内心思った
倒れた宗栄の顔をのぞくと、目が真っ白、口からは泡が出ていた。頭からは血が・・・
「これ・・・やばくないですか・・・?」
「大丈夫大丈夫、一応加減したし・・・・・・・・な・・・・」
軽い調子で言いながら宗栄の顔をのぞいてみる三太郎、しかし少し顔がひきつったのを城戸は見た
「・・・」
「・・・」
「え〜・・・まあ気絶でしょう!!」
「・・・」
引きつった顔で笑いながら、宗栄の体を背負う
―絶対重傷負わせたな・・・
そして三太郎の屋敷まで宗栄を運び、治療した
宗栄が目を覚ますまで二日かかったのはいうまでもない・・・
目を覚ました宗栄は、「なんかきれいな河を見たんだ・・・俺はその河を渡っておふくろのところへいこうとしたんだ・・・」などといっていた・・・
そのおふくろは三年前になくなっていたという・・・
「三太郎さん・・・」
「いやだって、ここまでなるとはね・・・」
苦笑いをしながら言う・・・
あともう少しで稲葉山の墓を増やすところだった・・・
「今度から気をつけてください・・・」
ハァとため息をつきながらいい、三太郎も「ハハッ・・・」と顔をひきつりながらいった


宗栄が目覚めるまでの二日間
城戸はあと誰を連れて行こうか考えていた
「内々で始末したほうがいいかもなぁ・・・」
三太郎や宗栄が一緒に来るのはしょうがないことではあるが・・・
薬師の三太郎は回復などで必要となるし、僧の宗栄は怨霊を鎮め、成仏させるためには欠かせない
となればあとは内々で始末するために忍者でいけばいいか・・・
そう思い、稲葉山城の忍者屋敷へと歩いていった


「失礼いたします・・・」
「おお、城戸か。首尾はどうだ?」
「いえ、まだです。今日頭にお願いしたいことがあります」
少し表情をかえる頭。何か面倒なことでも言われるのかとでも思っているらしい
「数人、忍者を連れていきたいのですが・・・よろしいですか?」
「・・・わかった。では小三田と平次郎、それと恒邑(つねむら)をつれてゆけ」
「はっ」
背後に気配がした。後ろを向けば、先ほどあった隠密忍者の3人であった
「あなた方は・・・」
「はい、先ほど会った者です」
腕もよさそうだ・・・心配はいらないだろう・・・
「では頭、行って参ります」
「うむ、生きて帰って来い」
「はっ」
頭には似合わぬ言葉を聞き、多少驚いた・・・
―とにかく早く終わらすか・・・・
皆に話すために稲葉山城城下町の屋敷へと走っていった
城戸たちがいってから数分後・・・
「頭」
と呼ぶ声が天井から聞こえた
「どうした?」
「あの者たちに行かせてよいのですか?」
その言葉に頭は冷笑した
「ふん、生きて帰ってこようがこまいがワシの知ったことではないわ」
「・・・」
「それより・・・あやつらにあの怨霊を倒してもらわねばならぬ。倒せねばそこまでのこと」
「わかりました・・・」
その答えを聞いたあと、すぐ気配を消した。どうやら後を追ったようだ
「くく・・・さてどうなることかな・・・」
何かを試すように独り言をつぶやく頭
その顔は口だけが冷笑しており、目は笑っていなかった
誰が見ても、何かしら不気味と感じるであろう表情であった・・・


「おお、どうだ?城戸」
「大丈夫でした。これで7人揃いました」
その言葉を聞き、少しほっとしたような表情をする三太郎
「ん?城戸が帰ってきたのか?」
奥で声がした。宗栄であった
三太郎が一昨日、錫杖で気絶させてから二日間、寝込んだきりであった
普通の気絶ならすぐ気がつくのだが、三太郎が力の限り殴ったため重傷を負い、寝込むことになってしまったのだ
「あ、はい。ちなみに・・・頭は無事ですか・・・?」
声を少し小さくしながら尋ねる城戸。しかし宗栄は多少怒り始めた
「大丈夫なわけがあるか!!!三途の川を渡りかけたんだぞ!!!」
顔を真っ赤にして怒る宗栄、トマトのみたいに赤くなっていた
しかし大量に失血していたせいか、そう叫んだ後
バタッ!!!
と倒れた
「はいはい、過去のことはもういいじゃないか」
三太郎は大笑いしながらそういうが、かえって宗栄の気を逆撫でしたようだ
「何おぅ!!!!表に出ろ!!!!」
「病人が何をいってるんだ、寝てろよ・・・」
そういうと宗栄はあたりにあった家具をぶん投げ始めた
「うおっと!!あぶねえな!!」
「おまえも一度三途の川を拝んで来い!!!」
今度はタンスを投げようとした
「おい、知ってるか?」
三太郎は語りかけるように話したが、宗栄は全然聞いていなかった
そしてタンスを三太郎目掛けて投げた
しかし、三太郎は簡単によけた
「おっと、このタンスな、火薬と鉄砲、銃弾が入ってるんだぜ?」
「え・・・?」
城戸は驚き、聞こうとしたが・・・
「これで一発往生しな!!!!」
聞いてくれるはずもなかった
三太郎はタンスから鉄砲をとりだし、構えた
「そんなもの、当たるか!!!!」
「お前で試せばわかるぜ!!!!」
ドンッ!!!
その音に、あたりは騒然となった・・・・



「申し訳ありません、次からは気をつけます・・・」
町方衆が詰め寄ってきたため、わけを話し、どうにか事を終わらせた・・・
次第に野次馬なども消え、静かになった
城戸はふぅ、と一息ついてから屋敷の戸をあけ、入った
「ご苦労さん、どうだった?」
三太郎はそこら中にある家具を整理していた
「これ以上心労を増やさないで欲しいのですがね・・・」
苦笑いをしながら、城戸は言った
「すまねぇ、俺としたことが頭に血が上って・・・」
笑いながら話す。城戸はハァとまた、ためいきをついた
「宗栄さんは?」
「寺の住職に呼び出し食らって今いないさ、青ざめてたぜ?」
くくくっ、と目に少し涙を浮かべながら大笑いをする三太郎
―一歩間違えれば人殺しをしていたぞ・・・
「それにしても・・・小三田さん、平次郎さん、恒邑さん、先ほどはどうもありがとうございました」
お礼をいう城戸。
実は先ほどのケンカの際、
小三田は三太郎の鉄砲を小刀で下に叩きつけた。平次郎は宗栄を刀の柄で軽く急所をつき、気絶させ、恒邑は三太郎の腹を殴った
そのため銃弾は床をつきぬけていったが、人にはあたっていない
そして2人とも、少しの間気絶していた
「礼はいらないが・・・まさかこんなことが起きるとは思ってもいなかった・・・」
三人とも笑っていた・・・
「いやいや、すまねぇ、もしあそこで止めてくれなきゃ、宗栄の心臓を貫いていたぜ」
笑いながら、御礼をする三太郎
―笑い事ではないが・・・
「しかしなぜ、鉄砲を?」
「ん?俺、もともと鍛冶屋だったんだぜ?」
「え?」
意外な返答に驚いた
「まあ鍛冶屋は飽きて、薬師になったんだがな。そのときに作った鉄砲だ」
そういいながら自分の鉄砲を眺める三太郎
「そうだったんですか・・・」
いろいろあるものだなぁと思う城戸であった
そして、その日の夕方、慌てふためいてかけてくる宗栄の姿があった
「ひぃひぃ・・・おまえらのせいだからな!!!!」
「落ち着けよ・・・何かあったか?」
三太郎はいうが、そんなことは無視して
「おまえらのせいで住職に何時間も説教受けたんだ!!!」
「身にはなったろう・・・」
はじめて口を挟む平次郎、呆れ顔でもあった
「とりあえず落ち着いてください・・・」
小三田も、いった
「とりあえず・・・準備をしようではないか・・・」
恒邑はこの場をまとめるために、そういった
「そうですね・・・では明後日までに準備してください」
皆うなづくと、自分の家へと帰っていった
「おい、まて!三太郎!!まだ決着ついてないぞ!!!」
「まあた説教されるぜ?それでもいいのかぁ?」
団子を食いながら、呆れ顔で宗栄にいった
「うぐ・・・」
「じゃあなぁ・・・」
「おい、まて!まてって!!」
三太郎はその言葉に従わずに、歩いていった
宗栄もその後を追うために走っていった
城戸はその姿を見て、少し笑った
平和だなぁと・・・
夕焼けの空が少しずつ黒ずんでいき、ついには満天の星の空となった
城戸は星空を見ながら、自分の屋敷へと戻っていった


すぐに作成した文です
まあ・・・また話と表現がおかしいのですがね・・・w
とりあえず、大体できたら見直し、そして修正して話を完成させる、と
そんなところですかね
ちなみにここで出ているキャラの名前は全て思い付きですのでw
では、またw

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Last-modified: 2007-12-10 (月) 03:46:47