三太郎が例の村に行ってから数時間後・・・
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そろそろ昼にさしかかっていた
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しかし天気は大雨となっており、稲葉山の市も今日はやりそうになかった
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城戸は恒邑の屋敷に泊まっていた
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朝なんとなく話をしようと恒邑の屋敷を訪ねたとき、雨が降り始めたため雨宿りさせてもらっていた
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止むまでの話であったが・・・今日は止みそうになかった
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また、その屋敷には恒邑・城戸の他に小三田・平次郎もいた
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「今日は止みそうにないな・・・」
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雨が降っている庭を見て、少しため息をつく恒邑
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「このようなときに大雨とは・・・不吉な感じがする・・・」
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小三田はそういう。しかしその言葉に平次郎は
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「不吉?忍者が不吉などと・・・ただ雨が降っているだけではないか」
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といった
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この前敬語は使わずに気楽に話そうと城戸は皆にいった。
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しかしそのため、きつい言葉もでるようになった・・・
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「平次郎は別にいいだろう・・・そういうのには鈍いからな」
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「ふん・・・たとえ鋭かったとしてもだ、今動けん状態で何を案じる必要がある?動けるようになってから案じればいいだろう・・・」
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別に仲が悪いということではないが、少々きつい言葉になるときもある
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「そうだな・・・とりあえず、準備だけでもしようか」
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「ですね・・・」
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恒邑の言葉に同意する城戸たち
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そして黙々と自分の道具を用意し始めた・・・
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一方、三太郎の屋敷では・・・
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「まだできないのか!さっさとつくれ!!」
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怒鳴り散らす宗栄の姿があった
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三太郎は黙々と薬を作っているが、その後ろに宗栄がいるため作りにくそうだ
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「だああ、わかってるよ!いちいち言わなくていい!」
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それなりに頭にきていた三太郎、なにしろ朝から無断で宗栄が屋敷にあがりこんできたのだ
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しかも「薬をつくれ!早く!!」と何度もいっているため、呆れながら作り始めたのだった
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しかし依頼の量がはんぱではなく、かなりの時間を要するものであった
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さらに微妙な分量の調節があるため、後ろで騒がれるのは気が立つものであった
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「言わなきゃつくらんだろう!」
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「今作ってるんだよ・・・ってああああ!!!お前のせいで分量間違えたじゃないか!!!」
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三太郎は薬研を指で指した
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先ほどもっていた皿に入っていた弟切草などが下に置いてあった皿に全部入ってしまったようだ
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「それぐらいなんだあ?」
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「それぐらい?てめえ、分量間違えた上に必要ねえ物まではいっちまったんだよ!!!!」
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頭を抱えて言う三太郎
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「そんなのどうでもいいだろうが!」
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「じゃあてめえ作れ!!!」
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後ろでたっていた宗栄の胸倉を掴み、先ほど自分が座っていたところにつきとばした
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「材料はお前の物を使っていいんだよな?」
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「そこにあるものだけ、な。それで作れるんなら俺は薬師やめるぜ」
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「それならやめる準備をしておけ、へぼ薬師!!」
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「なんだと〜!?」
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「ああ〜?やるか!?」
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次の瞬間、三太郎の屋敷は大騒動となった・・・
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ちょうどそのとき、雷が落ちた・・・
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