姥捨て山
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開始行:
ひげ宗家初代頭首の赤ひげ。彼もまた数々の逸話が残されてい...
----
悪ひげが生まれるずっとずっと昔の話。応仁の乱以降、各地で...
相次ぐ合戦。武士であろうとなかろうと徴兵され戦地に送られ...
また戦火で家を焼かれた者達、戦に巻き込まれ父を、母を、娘...
八百万の神々により作られ、かつては日の本と呼ばれた国のは...
そんな生き地獄に誘われたのか、それとも人々の強い負の思念...
信濃。。。
一年を通して豪雪地帯で知られる山岳地帯。しかしここにも戦...
生きていくのに必死な農民達は少しでも食い扶持を減らすため...
いつしかそういった捨てられた者達の無念の思いが世を恨む魔...
希望無き明日。人々はただ神仏にすがり念仏を唱えるしかなか...
#br
ある日、そんな信濃にどこからやって来たのか一人の修行僧が...
行き先があるのかそれともあてなどないのか、雨が降ろうが、...
山菜を摘んで食事とし、手ごろな廃屋で疲れを癒しまた歩き続...
信濃にまた冷たく暗い夜が訪れかけていた頃、僧の行く手に小...
そこはとても小さな集落でした。僧はその集落の家の戸を叩き...
中からはいぶかしげな顔をした老人がでてきました。
僧『一夜の宿をお借りしたのだが』
老人は僧をしげしげと観察してから、ため息をつきました
老人『。。。食いもんなどありゃしないが、せめて暖でもとっ...
そういって老人は僧を招き入れました。
#br
#br
老人は庵に薪をくべながら僧をしげしげと見ていました。
赤ひげはそんな老人の視線を意に介さず袈裟に積もっている雪...
老人『お前さん、見たとこ御坊のようだが、その身なりはどう...
僧『ああ、これは失礼。私、赤ひげというしみったれた坊主で...
赤ひげはそういうとにかっと笑みを作ります。
老人『。。。この世に神も仏もおるんかのぅ。。。ワシらはた...
老人は深いため息をつきました。赤ひげはそんな老人を拝みま...
赤ひげ『神や仏がいるかは私にも分かりません。ただ一つ分か...
老人はやれやれといったような様子です。
老人『はぁ。。。ご高説ありがたいことじゃ。じゃがこの地に...
赤ひげ『鬼婆!?ここらにはそんなものがおるのですか?』
老人『よそ者のお前さんが知らぬのも無理はない。。。ここら...
赤ひげ『子供を。。。』
老人『村の男連中が退治しに向かったが誰一人帰ってこん』
赤ひげ『。。。』
老人『悪いことは言わん。お前さんも早々にこの地を離れたほ...
老人はうつろな目で庵の火を眺めていました。
#br
#br
翌朝。
老人は物音で目が醒めます。
そこには荷物を片付けている赤ひげの姿が。
老人『おやおや、早いのぅ。もう出立かね?』
赤ひげ『おはようございます!昨日話していた鬼婆とやらの姿...
老人の顔がみるみる青ざめていきます。
老人『なっ!?お前さん命が惜しくないか?相手は化け物じゃ...
赤ひげは微笑んで手を休めます。
赤ひげ『私も僧の端くれ。。。魑魅魍魎どもと渡りあったこと...
老人『今までどんな化け物と戦ってきたか知らんが、鬼婆には...
赤ひげ『。。。そこで命を奪われるようであればそれもまた私...
老人は呆れてしまいます。そんな老人を尻目に赤ひげは準備を...
赤ひげ『一宿の御恩感謝致します。貴殿に御仏の御加護のあら...
老人を拝むと赤ひげは早々に山に向かって歩き始めました。
#br
#br
ポツリポツリと降り出した雪はいつしか吹雪になっていました...
赤ひげは手ごろな洞窟で吹雪から身を隠し、目を閉じ正座をし...
それから3日。吹雪は一向に止む気配はありません。その間、...
赤ひげが念仏を唱え初めて4日目の夜が来ようとしていた時、...
そしてそのうなり声はだんだんと赤ひげに近づいてきます。
赤ひげは念仏を唱えたまま立ち上がり、目を開きます。
すると吹雪の中をこちらにやってくる影が一つ。
赤ひげも洞窟を出て吹雪の中をやってきた影に向かって歩み寄...
赤ひげとその影が近づくにつれて不思議と吹雪が弱まっていき...
影まであと数歩というところまでくると嘘のように吹雪がやん...
赤ひげ『。。。っ!これが噂の鬼婆か』
鬼婆から発せられている妖気はすさまじく赤ひげはそれ以上鬼...
鬼婆は笑っているのか泣いているのか分からない雄叫びを上げ...
かかってしまい、身動きが取れなくなってしまいます。
赤ひげは金縛りにあい体の自由を奪われても念仏を唱え続けま...
すると揺れていた鬼婆は動きを止めうなり声を出し始めます。
鬼婆『。。。オ前。。。。。。ワタシヲ。。。。。。。。。殺...
その声は体のそこから震えが起きるようなすさまじく恐ろしい...
赤ひげは念仏を止め鬼婆に叫びます。
赤ひげ『違う!私はそなたを退治しに来たのではない!』
鬼婆『。。。。ワタシ。。。。殺ソウトスル。。。者。。。。...
鬼婆はその鋭い爪をかかげ赤ひげに襲いかかってきました。
赤ひげも何とか金縛りからのがれ応戦の準備をします。
赤ひげ『やらねば。。。。やられるかっ!』
突進してくる鬼婆をかわし、赤ひげは両手で印を結びながら念...
光は鬼婆に当たると破裂し辺り一面に広がります。
赤ひげ『やったか。。。?』
しかし、光の中から何事もなかったように鬼婆が突進してきま...
鋭い爪を振り回す鬼婆。赤ひげは間合いをとりながらなんとか...
しばらくして鬼婆の動きが止まりました。赤ひげもそんな鬼婆...
すると、次の瞬間鬼婆の口が開き、その頭上に大きな火の塊が...
赤ひげ『っ!しまった!!』
火に包まれ崩れ落ちる赤ひげ。その赤ひげに猛然と向かってく...
鬼婆の爪が赤ひげに襲いかかったその時、赤ひげの周りの見え...
結界の反射により爪が折れ、もだえる鬼婆。赤ひげはその隙を...
先ほどよりも輝きを増した光は一点に凝縮され鬼婆の胸を貫き...
悲鳴をあげる鬼婆の姿が徐々に崩れはじめます。そんな中、鬼...
鬼婆『。。。ワ。。。。シ。。。。。。ド。。。。モ』
赤ひげは巾着から治身粉を取りだし飲みます。するとひどかっ...
鬼婆『。。。。。タ。。。。シ。。。ノ。。。。。。。モ。。。』
鬼婆は何かを訴えるような目で赤ひげを見ています。赤ひげは...
赤ひげ『これで少しは痛みが和らぐであろう。成仏する前に何...
札を貼られた鬼婆の体の周りに日輪が現れ、体の崩壊を少し和...
赤ひげ『お主はこの山に捨てられたのであろう。子が親を捨て...
鬼婆『ワタシ。。。。コドモ憎クナイ。。。。』
赤ひげ『なに?ではなぜこの世に未練を残し、村を襲うのだ?』
鬼婆『ワタシ。。。。ノ。。。コドモ。。。。殺サレタ。。。...
赤ひげ『お主を捨てた子供が殺されたのか?』
鬼婆『ワタシノ。。。。コドモ。。。山賊ニ殺サレタ。。。。...
赤ひげ『そうか。。。。恨み憎しみの為に化けてでたのではな...
鬼婆はうなずきます。
鬼婆『。。。。コドモ。。。。ヲ。。。。守ッテ。。。。頼ム...
そう言うと鬼婆は指を指します。
鬼婆『アソコ。。。ニ。。。。コドモイル。。。。。コドモヲ...
日輪の中、般若の顔が崩れ落ち全てが光となって空に飛んで行...
赤ひげは光を拝み念仏を唱えました。
自分のことを捨てたとはいえ、その子供のことが心配で心配で...
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こんなひげが書く日記はこちら⇒[[ひげひげ日記]]
その他のお話はこちら⇒[[ひげひげ人生劇場]]
終了行:
ひげ宗家初代頭首の赤ひげ。彼もまた数々の逸話が残されてい...
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相次ぐ合戦。武士であろうとなかろうと徴兵され戦地に送られ...
また戦火で家を焼かれた者達、戦に巻き込まれ父を、母を、娘...
八百万の神々により作られ、かつては日の本と呼ばれた国のは...
そんな生き地獄に誘われたのか、それとも人々の強い負の思念...
信濃。。。
一年を通して豪雪地帯で知られる山岳地帯。しかしここにも戦...
生きていくのに必死な農民達は少しでも食い扶持を減らすため...
いつしかそういった捨てられた者達の無念の思いが世を恨む魔...
希望無き明日。人々はただ神仏にすがり念仏を唱えるしかなか...
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ある日、そんな信濃にどこからやって来たのか一人の修行僧が...
行き先があるのかそれともあてなどないのか、雨が降ろうが、...
山菜を摘んで食事とし、手ごろな廃屋で疲れを癒しまた歩き続...
信濃にまた冷たく暗い夜が訪れかけていた頃、僧の行く手に小...
そこはとても小さな集落でした。僧はその集落の家の戸を叩き...
中からはいぶかしげな顔をした老人がでてきました。
僧『一夜の宿をお借りしたのだが』
老人は僧をしげしげと観察してから、ため息をつきました
老人『。。。食いもんなどありゃしないが、せめて暖でもとっ...
そういって老人は僧を招き入れました。
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老人は庵に薪をくべながら僧をしげしげと見ていました。
赤ひげはそんな老人の視線を意に介さず袈裟に積もっている雪...
老人『お前さん、見たとこ御坊のようだが、その身なりはどう...
僧『ああ、これは失礼。私、赤ひげというしみったれた坊主で...
赤ひげはそういうとにかっと笑みを作ります。
老人『。。。この世に神も仏もおるんかのぅ。。。ワシらはた...
老人は深いため息をつきました。赤ひげはそんな老人を拝みま...
赤ひげ『神や仏がいるかは私にも分かりません。ただ一つ分か...
老人はやれやれといったような様子です。
老人『はぁ。。。ご高説ありがたいことじゃ。じゃがこの地に...
赤ひげ『鬼婆!?ここらにはそんなものがおるのですか?』
老人『よそ者のお前さんが知らぬのも無理はない。。。ここら...
赤ひげ『子供を。。。』
老人『村の男連中が退治しに向かったが誰一人帰ってこん』
赤ひげ『。。。』
老人『悪いことは言わん。お前さんも早々にこの地を離れたほ...
老人はうつろな目で庵の火を眺めていました。
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翌朝。
老人は物音で目が醒めます。
そこには荷物を片付けている赤ひげの姿が。
老人『おやおや、早いのぅ。もう出立かね?』
赤ひげ『おはようございます!昨日話していた鬼婆とやらの姿...
老人の顔がみるみる青ざめていきます。
老人『なっ!?お前さん命が惜しくないか?相手は化け物じゃ...
赤ひげは微笑んで手を休めます。
赤ひげ『私も僧の端くれ。。。魑魅魍魎どもと渡りあったこと...
老人『今までどんな化け物と戦ってきたか知らんが、鬼婆には...
赤ひげ『。。。そこで命を奪われるようであればそれもまた私...
老人は呆れてしまいます。そんな老人を尻目に赤ひげは準備を...
赤ひげ『一宿の御恩感謝致します。貴殿に御仏の御加護のあら...
老人を拝むと赤ひげは早々に山に向かって歩き始めました。
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ポツリポツリと降り出した雪はいつしか吹雪になっていました...
赤ひげは手ごろな洞窟で吹雪から身を隠し、目を閉じ正座をし...
それから3日。吹雪は一向に止む気配はありません。その間、...
赤ひげが念仏を唱え初めて4日目の夜が来ようとしていた時、...
そしてそのうなり声はだんだんと赤ひげに近づいてきます。
赤ひげは念仏を唱えたまま立ち上がり、目を開きます。
すると吹雪の中をこちらにやってくる影が一つ。
赤ひげも洞窟を出て吹雪の中をやってきた影に向かって歩み寄...
赤ひげとその影が近づくにつれて不思議と吹雪が弱まっていき...
影まであと数歩というところまでくると嘘のように吹雪がやん...
赤ひげ『。。。っ!これが噂の鬼婆か』
鬼婆から発せられている妖気はすさまじく赤ひげはそれ以上鬼...
鬼婆は笑っているのか泣いているのか分からない雄叫びを上げ...
かかってしまい、身動きが取れなくなってしまいます。
赤ひげは金縛りにあい体の自由を奪われても念仏を唱え続けま...
すると揺れていた鬼婆は動きを止めうなり声を出し始めます。
鬼婆『。。。オ前。。。。。。ワタシヲ。。。。。。。。。殺...
その声は体のそこから震えが起きるようなすさまじく恐ろしい...
赤ひげは念仏を止め鬼婆に叫びます。
赤ひげ『違う!私はそなたを退治しに来たのではない!』
鬼婆『。。。。ワタシ。。。。殺ソウトスル。。。者。。。。...
鬼婆はその鋭い爪をかかげ赤ひげに襲いかかってきました。
赤ひげも何とか金縛りからのがれ応戦の準備をします。
赤ひげ『やらねば。。。。やられるかっ!』
突進してくる鬼婆をかわし、赤ひげは両手で印を結びながら念...
光は鬼婆に当たると破裂し辺り一面に広がります。
赤ひげ『やったか。。。?』
しかし、光の中から何事もなかったように鬼婆が突進してきま...
鋭い爪を振り回す鬼婆。赤ひげは間合いをとりながらなんとか...
しばらくして鬼婆の動きが止まりました。赤ひげもそんな鬼婆...
すると、次の瞬間鬼婆の口が開き、その頭上に大きな火の塊が...
赤ひげ『っ!しまった!!』
火に包まれ崩れ落ちる赤ひげ。その赤ひげに猛然と向かってく...
鬼婆の爪が赤ひげに襲いかかったその時、赤ひげの周りの見え...
結界の反射により爪が折れ、もだえる鬼婆。赤ひげはその隙を...
先ほどよりも輝きを増した光は一点に凝縮され鬼婆の胸を貫き...
悲鳴をあげる鬼婆の姿が徐々に崩れはじめます。そんな中、鬼...
鬼婆『。。。ワ。。。。シ。。。。。。ド。。。。モ』
赤ひげは巾着から治身粉を取りだし飲みます。するとひどかっ...
鬼婆『。。。。。タ。。。。シ。。。ノ。。。。。。。モ。。。』
鬼婆は何かを訴えるような目で赤ひげを見ています。赤ひげは...
赤ひげ『これで少しは痛みが和らぐであろう。成仏する前に何...
札を貼られた鬼婆の体の周りに日輪が現れ、体の崩壊を少し和...
赤ひげ『お主はこの山に捨てられたのであろう。子が親を捨て...
鬼婆『ワタシ。。。。コドモ憎クナイ。。。。』
赤ひげ『なに?ではなぜこの世に未練を残し、村を襲うのだ?』
鬼婆『ワタシ。。。。ノ。。。コドモ。。。。殺サレタ。。。...
赤ひげ『お主を捨てた子供が殺されたのか?』
鬼婆『ワタシノ。。。。コドモ。。。山賊ニ殺サレタ。。。。...
赤ひげ『そうか。。。。恨み憎しみの為に化けてでたのではな...
鬼婆はうなずきます。
鬼婆『。。。。コドモ。。。。ヲ。。。。守ッテ。。。。頼ム...
そう言うと鬼婆は指を指します。
鬼婆『アソコ。。。ニ。。。。コドモイル。。。。。コドモヲ...
日輪の中、般若の顔が崩れ落ち全てが光となって空に飛んで行...
赤ひげは光を拝み念仏を唱えました。
自分のことを捨てたとはいえ、その子供のことが心配で心配で...
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こんなひげが書く日記はこちら⇒[[ひげひげ日記]]
その他のお話はこちら⇒[[ひげひげ人生劇場]]
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