越前には破門された方がたくさんいます。破門塾生・破門門人。。。そして破門師範代。塾生や門人ならまだしも師範代にもなって破門されるとは何をしたのか?少し想像を膨らませてみましょう♪

ちなみに破門師範代の構成(配役)は。。。

  • 破門師範代 47 …主人公
  • 追随門弟 45 …助さん
  • 追随門弟 45 …格さん
  • 惹かれ巫女 46 …巫女さん
  • 腹黒占い師 46 …陰陽
  • 慰め尼僧 45 …尼さん
  • 門弟志願者 46 …老人

越前にとある道場がありました。しかしその道場のしきたりはあまりに厳しく入ってみたものの破門される塾生が多くて有名だったのです。道場主である師範は毎日門人から集めた金で贅沢三昧。稽古はもっぱら師範代が見ているといった様子でした。この師範代の男、よく出来た男でして、剣の道もさることながらその剣に懸ける熱い情熱と、他人を思いやる優しい心で門人は勿論のこと、町内でも人望が厚かったのです。

特に道場に隣接している神社からは道場の様子がよく伺えます。剣の道を極めんと日夜汗を流している師範代を見つづける眼差しがそこにはありました。神に仕える身でありながら一人の男を愛してしまった女。彼女にとってそれは叶わぬ恋だったのです。。。

そんなある日、越前に一人の占い師がやってきます。この占い師、人を騙しはお金を巻き上げる根っからの札付きでして、各地では指名手配されている男です。まだ顔が割れていない越前に潜り込みひと稼ぎしようという魂胆のようです。。。

そんな占い師が街で町民の噂話を小耳に挟みます。。。『あそこの道場主は門人から集めたお金で贅沢三昧している』と。どうやら占い師のターゲットは決まったようです。

日々稽古に励む師範代。そして彼が信頼を寄せる二人の塾頭。彼等を慕って毎日多くの門人が道場に通います。しかし師範の気に入らないもの、金を納められないものは次々と破門されていきます。そんな状況に胸を痛める一人の女性がいました。彼女はこの道場主である師範の娘。自分の父親の素行に愛想を尽かしていました。あれが本当にあるべき武士の姿なのだろうか、本当の武士というものは。。。道場に目をやる娘。そこには稽古に明け暮れる師範代の姿がありました。

師範代が門人に稽古をつけていると、塾生がお客人が2人も来たと告げにきます。一人は白髪の男性。どうやらはるばる遠くから門弟になる為やってきたというのです。老人曰く、『師範代の名は私の国でも有名です。人生の大半を薬師として生きて来ましたが、幼い頃より続けている剣術の道への情熱を忘れたことは一度たりとてない。すでに老いさばらえた身ゆえ、剣を持つことはままならぬが、武勇高き剣士にお仕えすれば私の残りの人生を剣の道に委ねることができる。どうか門弟の末席に加えて頂きたい』

師範代としては困ってしまったのだが、人生経験豊富な翁に道場運営の補佐をお願いできるのはありがたい。そこで門人としてではなく門弟として身の回りの世話や相談をする相手として側に置くことにしました。

もう一人の客人は見たところ占い師のようでした。私は高名な占い師である。この道場に大きな災いが降りかかっておるが私がなんとかしてしんぜよう。ついては道場主に会わせて欲しい。

師範を言いくるめ金を巻き上げようとするが、あいにく師範は占いを信じる方ではなく、逆に散々とこけにされ体よく追い出されてしまいます。これを恨みに思った占い師。彼はこんなことで諦めるような男ではありませんでした。

それから数日後。。。

老人はよく働いてくれました。気配りがよく、まさに師範代にとっては手の届かない所に届く手のような存在でした。今日は隣の神社に七支刀を奉納しにいくので朝からおおわらわでしたが老人のお陰で準備は滞りなく終わりました。

昼過ぎ、師範に代わり師範代が神社に刀を奉納しに行きます。師範代から刀を受け取る巫女。刀を受け取る瞬間、そっと手と手が触れ合います。。。

奉納の儀式終了後、神主・巫女・師範代の3人で世間話をしました。巫女が『いつも隣から門人の方の声や竹刀を打ち合う音が聞こえ元気が沸いてきます』と言えば、師範代も『いつも隣から笛や太鼓の艶やかな音が聞こえ心が癒されます』と。もうすぐ長い冬が終り、越前にも春がやってくる。そんな感じを予感させる暖かい昼下がりでした。。。

師範代が道場に帰ると一人の男がいました。それは先日師範を尋ねてきた占い師。。。今日は師範代に話があるそうなのです。

『ここの道場は有名だが決して評判はよくない。何故か?全て師範の行いのせいではないか。師範代や塾頭は皆に慕われる人格者だが師範はどうだ?占いによればお主はいずれ大業を成すと出ている。ここは師範に座を退いてもらいお主が後を継ぐのが最良だと思うが』

師範代も師範の行いは目に余るものであるとは感じてはいます。しかし墜ちても師は師だ。それを裏切るようなことはできない。

師範代を懐柔できなかった占い師はしぶしぶ道場を後にしたがこのまま引き下がる男ではありません。『いずれまた来る。その時までに考えておくがよい』と言い残し去って行きました。

それからまた数日が過ぎ、街に妙な噂が流れます。。。

『道場の娘が深夜誰かと逢引きをしている』

老人からその噂を聞いた師範代は意にも介さず『あれほどの気立てがよく立派なお嬢さんが、そのような不義理をするはずがない』と流します。そしてこのことは決して門人やお嬢さんには知られぬようにしなくてはならないと。

その夜、一人の男が道場に駆け込んできます。『ここの門人の方が辻斬りにあって大変だ』

その男は師範代を連れて走って行きます。塾頭は急いで後を追いますが暗闇のせいで姿を見失ってしまいます。

男に連れられて師範代が来た所には門人の影など見当たりませんでした。その代わり一人の女性がいたのです。よく見るとそれは道場の娘。師範代が驚くと娘の方でも驚いているようです。

訝しく思った師範代は、自分を連れて来た男を振り返りますが男の姿はありません。娘に何故ここにいるのか尋ねると、ある男が道場のことで大事な話がある。師範や師範代にも話せない話だから今宵の晩にここまできて欲しいと言われたらしいのです。。。

合点がいかず悩んでいると足音が近づいてきます。とっさに身構える師範代。しかし近づいてきた人物はなんと師範でした。

『近頃、娘が何者かと逢引きしているという噂があったが、まさかお前だったとはな!』

怒りに震える師範。師範代に切りかかろうとしますがそこに駆けつけた塾頭らによって取り押さえられます。

事件から一夜明けて

師範による詮議が始りました。しかし師範代は身に覚えのないことだ。何かの誤解だと反論します。結論が出ないままでいると、老人が血相を変えて走ってきました。

『お嬢様が今朝、出家なさいました』

昨夜からの一連の話を全て聞き、自らの身の潔白を証明すべく出家した娘。さすがにこの娘の行為に痛く衝撃を受けた師範はそれ以上師範代を責めることはしませんでした。

事件から数日。師範と師範代の間はギクシャクしたままでした。そこにまたあの占い師がやってきたのです。

『道場の主たる者は人に敬われる存在でなくてはなるまい。あの師範はどうだ?この道場の名をこれ以上貶めてもよいのか?』

師範代は悩みます。己の進むべき道はどれなのか。。。

煮えきらない師範代に痺れを切らした占い師は、師範の元を訪れます。そして師範に告げます。師範の座を狙っている者がいると。。。

その日の夕方、師範代は道場を破門にされます。道場を破門にされる。武士にとってこれ以上の屈辱があるでしょうか。道場を追い出された師範代にそっと占い師が耳打ちをします。

『今ならまだ間にあう。師範の座を奪うのだ!』

しかし師範代は首を振ります。

『道場を破門されることほど酷い仕打ちはない。しかしそれでも私は師を裏切ることはできない。。。』

もはや一乗谷にはいられない。どこかの国に行くしかないのか。。。かといって当てなどはないのだが。

そんな師範代を追いかけてくる影が2つ。やってきたのは塾頭でした。

『私達も師範代のあとを追います。これからもご指導宜しくお願い致します』

そして老人も荷物をまとめ立っています。

『私が仕えるのはあなた様のみ。あなた様の行くところなればどこまでもお供いたします』

一行が一乗谷の門まで来ると、門衛が占い師をジロリと睨みます。どうやら一乗谷も危なくなってきたな。こいつらと一緒に新しい国に行くか。占い師は首をひそめで早足で門を抜けていきました。

門の外には一人の尼さんが立っていました。

『私は尼としてあなたの心を癒す為に共に旅にでます』

尼さんが微笑むと師範代も照れくさそうに笑います。

師範代が破門され、国を追われてしまったことを聞きつけた巫女。何をしていいのかわからず、ただあたふたとしています。そんな巫女を見かねて神主が声を掛けます。

『自分が正しいと思う道をお行きなさい。それが一番大切なことなのですよ』

神主に深く頭を下げる巫女。そしてすぐに仕度を整えると神社の階段を駆け下りていきました。神主はただ微笑んで自分の青いひげをなでていました。

こうして一乗谷を追われた一行。その後の彼等の行方を知る者はいません。ただどこか新しい国で今日も剣の道に励んでいることでしょう。なぜなら人生は前にしか進むことはできないのだから。。。


編集後記♪(v〃∇〃)ハ(〃∇〃v)ィェィ♪

ひげひげ日記/2004-02-24で破門師範代についての説明をしようと思っていたんですが、あまりにもユニークな徒党編成だったので勝手に裏事情を想像してしまいました。。。

しかも原案も作らず勢いだけで書いていたので支離滅裂で強引な話になってしまいましたがご愛嬌です。だって今現在、リアル時間で朝の5時09分。。。明日どうすんだよオイ!ってことなんですもの。。。

一応ストーリー仕立てにしたのでひげひげ人生劇場に載せておきます。。。

トップ   編集 凍結 差分 履歴 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2007-12-10 (月) 03:46:48